【大会レポート✴︎香川大会2022：決勝トーナメント編】

予選に続いて行われた「香川大会」決勝ラウンド。審査員のひとり、フラワーデザイナー・宮永英之さんの「さらにワクワクする花いけを見せてほしい」というコメントで幕を開け、言葉通り、予選ラウンド以上に勢いのある花いけと予想外の展開で会場を湧かせてくれました。

準決勝は、先鋒、次鋒ともに個人作品での審査となります。

先鋒は2つの細長い器が用意されました。大きな枝物を入れると安定感が悪く、準決勝第１ラウンドでは、途中で何度も倒れてしまうハプニングも・・・。誰もが「もうダメかも」と思った瞬間。それでも、最後の1秒まであきらめずにいけきった姿には、大きな拍手が巻き起こりました。

「失敗しても、自分の花いけができたことが嬉しい」と語る清々しい表情。そこには「高校生花いけバトル」が伝えたいことのすべてが詰まっているように思えました。

続いての第２ラウンドでも、細長い器に悪戦苦闘。しかし、ゴングがなる直前までグラグラしていた枝が最後の瞬間にピタッと止まり、もっとも美しい姿を見せてくれたのです。「お花の神様がいた」という司会者の言葉通り、会場には静謐な空気が流れました。

このステージに立つ高校生たちは、ときに驚くような奇跡の瞬間を見せてくれることがあります。全力で取り組む姿勢、「いけたい」と思う強い気持ちが、技術や経験を上回る大きな力になるのです。

決勝戦は「月虹」と「飯山 花笑み」の対決に。どちらも何度も優勝経験のある強豪校です。ドウダンツツジ、ドラゴンヤナギ、ユーカリ、オリーブ・・・大きな枝物が揃った香川大会らしいスケールの大きな作品。柔らかくやさしく表情を見ながらしっかりといけた作品。終始冷静に、やりたいことを思い描きながら、それぞれが全速力で駆け抜けた５分間でした。

今年度の優勝チーム・香川県立飯山高等学校「飯山 花笑み」のふたり。「大きな作品を堂々といけている姿が印象的だった黒川さんと、「あきらめない気持ちが大切」と語ってくれた秦さん。昨年の優勝に続き、史上初の２連覇を達成しました！

何度倒れてもあきらめなかった英明高等学校「月虹」の横山さんと、毎回さまざまな花いけスタイルで観客を楽しませてくれた桒原さん。やりたいことを出し切った、悔いのない花いけでした。

美しい花材が揃い、日頃の努力や練習の成果が存分に発揮された本大会。６回目の今回は、皆が切磋琢磨しながら地域全体がレベルアップしていく様子を肌で感じることができました。

今回初めて挑戦してくれた高校生バトラーの皆さんも、お花の楽しさ、美しさを知り、これからお花をいける楽しさをもっと味わっていただけたら嬉しいです。