花いけだより

大会レポート✴︎上信越大会2023

2023年7⽉29⽇(⼟)、「全国高校生花いけバトル 上信越大会2023」が行われました。会場の新潟県・新潟市⿊埼市⺠会館には、9校23チームの高校生バトラーが集まり、真夏の暑さに負けない熱い戦いを見せてくれました。

今年は久しぶりの有観客試合。得点は審査員点の合計に観客点が加算されます。3チームが同時に戦う予選は全8試合。試合時間はたった5分間で、集中力と先鋒・次鋒のチームワークがカギとなります。開会のあいさつを聞きながら、集中力を高める高校生バトラーたち。ゴングが鳴る前から勝負はもう始まっています。

大きなウンリュウヤナギを使ったおおらかな作品の数々。前回大会も出場した高校生バトラーは、前回の反省を生かし、自分なりの課題を持って今回の花いけを戦います。いずれも見事な作品に、ジャッジメントをする観客のまなざしも真剣そのもの。

ダイナミックな作品を目指して大きな枝ものや竹を使うチームが多いなか、あえて葉ものとカラフルな花だけでかわいらしい作品に仕上げるチームも。ひとつとして同じ作品がなく、それぞれの個性が輝いていました。

夏は暑く冬は寒い新潟県は、ユリの生育に最適。予選では、美しく咲いた地元・新潟県産のユリの花を使った作品がひときわ目を惹きます。審査員のジャッジメントでは、「保水」も重要なポイント。限られた時間のなかでも、花が水を吸えるようにいける丁寧な所作が求められます。僅差の戦いでは、保水ができていなかったことによる減点で、敗退してしまうチームも……。

ヨウシュヤマゴボウ、ツバキ、キイチゴ、ユキヤナギ……。地元の山から切り出してきた、新潟県ならではの山の木々を使い、自然の美しさを表現した作品も見られました。大きな木は、花器にいけるときのバランスが大切。安定する場所を見つけて、スピーディにいけていきます。

それぞれの花材の表情を見て、葉の向きにも気を付けながら美しい作品に仕上げる高校生バトラーたち。今日出会う花、今日出会う花器。限られた時間のなか即興で仕上げる作品は、いずれも、この日、この時間、この場所でしか見ることができないものです。

先鋒が見事な手際で竹を割きベースをつくり、次鋒にバトンタッチするチーム。先鋒が使用する花材を集め、次鋒は仕上げに専念するチーム。2人のチームプレーにもそれぞれの個性が伺えました。

予選ラウンドが終わり、準決勝に駒を進めたのは、⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「First」、⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「鈴蘭」、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「Monsters」、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「⼀花⾐」の4チーム。いずれも僅差での準決勝進出でした。大阪府立園芸高等学校は、近畿大会で何度も優勝した強豪校。学校行事の関係で、11月の近畿大会に参加できないことから、今回は上信越大会への参加となりました。

準決勝第一試合は、⾦沢市⽴⼯業⾼等学校同士、第二試合は⼤阪府⽴園芸⾼等学校同士の戦いです。同じ学校同士なので、相手の強みや弱みもわかっています。どれだけ個性を出せるか、そこにチームらしさが現れていました。いずれのチームも最後まで諦めない波乱の対決となった準決勝。同門対決を制し、決勝に駒を進めたのは、⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「First」と⼤阪府⽴園芸⾼等学校「Monsters」の2チームです。

決勝戦は使いたい器が重なってしまい、じゃんけんから始まりました。先鋒戦は3年生同士の戦い。「今回が最後の花いけになるかもしれない」と、悔いのない戦いを繰り広げます。勝っても負けてもこれが最後。どちらにも頑張ってほしい。一つひとつの花材がそれぞれの作品をかたちづくるたび、見ているこちらもハラハラします。

大阪府⽴園芸⾼等学校「Monsters」はチャレンジングな構成です。先鋒では⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「First」がリードしましたが、両チームともドキドキするような花いけを見せてくれました。

勝ちたいという気持ちと花をいけることを楽しむ気持ち。この両方が合わさってこその高校生花いけバトルです。優勝するのは先鋒でリードした⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「First」か、それとも大阪府⽴園芸⾼等学校「Monsters」が次鋒で逆転するのか。観客席にも緊張が走ります。

優勝は⾦沢市⽴⼯業⾼等学校「First」。花、枝の表情が美しい、生きいきとした作品を見せてくれた⾠⽥さんと、予選から安定した高得点で実力を示した山瀬さんのペアです。思いっきり楽しもうという姿勢が見えた2人。日頃の練習が生きた冷静沈着でバランスの良い花いけで、観客の心を掴みました。

準優勝、大阪府⽴園芸⾼等学校「Monsters」の2人。勝又さんは、試合中のアクシデントでケガをしながらも、今できる最高の花いけを見せてくれました。佐藤さんは「やりたかったことにチャレンジしながら、今の実力を出しきった」と美しい涙を流しました。個性の違う2人の絆から生まれた作品は、青春の結晶のように輝いていました。

花と向き合う情熱とひたむきさ。審査員からも、どのチームも昨年の大会に比べると飛躍的に上手くなっているとの言葉が。とくに、決勝戦でいけられた4作品は、どれも遜色ないほどの完成度でした。きっと、今回参加してくれたチームは、今日の大会で得た課題を持ち帰り、より素晴らしい花いけを見せてくれることと思います。

 

また来年、この新潟ですばらしい高校生バトラーたちに出会えることを楽しみにしています!