大会レポート:近畿大会 2024
2024.12.20
2024年10月6日(日)、大阪府のイオンモール茨⽊ 1F ジョイプラザにて「全国高校生花いけバトル近畿大会2024」が開催されました。参加するのは、大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀の13校30チーム60名の高校生バトラーたち。激戦区の近畿らしい、レベルの高い戦いが繰り広げられました。
商業施設の会場とあって、偶然訪れた買い物客も観客となり、大勢のギャラリーの前で行われた「全国高校生花いけバトル」。いつもの練習とは違う解放感と心地いい緊張感が客席にも伝わってきます。大会では、客席にいる方にも色札を掲げてジャッジに参加してもらいました。初めて花いけバトルを見る方も多くいましたが、皆それぞれに、きれいだと思った作品、感動したポイントなどを頼りに、1チームに投票します。
色とりどりの個性的な花が用意された今大会。高校生たちは、ご協力いただいた市場、仲卸、生産者の皆さまに感謝をこめて、丁寧に花を選び、1輪ずついけていきます。花の色や形をどう生かすか。花をよく見て、観察することで、美しい向きや組み合わせが見えてきます。
まずは「長いもの、太いもの、硬いもの」を先にいけて、花留めとします。基本に忠実に、竹やシャレ木、流木をいける高校生バトラーたち。ここでしっかり固定しなければ、次に進むことはできません。大きな竹や木はインパクトがありますが、バランスを取るのが難しいもの。それでも、みずから描いたイメージのために、果敢にチャレンジしていきます。
待ちに待った秋を祝うかのように、次々と仕上がっていく鮮やかで秋らしい作品たち。ドウダンツツジやアセビといった秋らしい枝もの、瑞々しいユリの花や真っ赤なダリア。最後の1輪で印象が変わることもあり、最後までどんな作品になるか目が離せません。
緊張感から、バランスを崩してしまい、自分らしい作品を完成させることができなかった高校生バトラーも……。イメージしたように仕上がらず「後悔しかない」と悔し涙を流す人も、「結果はどうあれ思いっきり楽しめた」という人も、大勢の観客の前でたくさんの花と真剣に向き合ったこの時間は、一生の宝物となることでしょう。
色の組み合わせが個性的だった予選ラウンド。ハイレベルな激戦を勝ち抜いて、僅差で準決勝に進んだ4チームは、いずれも「高校生花いけバトル」の強豪校です。
全10ラウンドのバトルでは、「緊張のドキドキとワクワクのドキドキを同時に味わえた」という声も聞かれました。ステージは会場に降り注ぐ西日に照らされ、その姿は紅葉のように美しく輝いていました。
準決勝第1ラウンドは、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「⼀花⾐」VS相愛⾼等学校「相愛 ⽉葉」。緊張感に包まれた会場に、花を取りに走る足音、竹を切る音が響きます。スピードと正確さ、両方が合わさり、見事な花いけ作品が完成しました。
準決勝第2ラウンドは、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「晴⾹」と兵庫県⽴農業⾼等学校「県農☆園芸科」のバトルです。先鋒、次鋒それぞれの個人作品でありながら、2つの異なる作品が調和しているか。そんな視点もチームへのジャッジメントに加わります。
決勝に進んだのは、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「⼀花⾐」と、同じく⼤阪府⽴園芸⾼等学校の「晴⾹」。決勝は、先鋒・次鋒それぞれの個人作品の合計点で決まります。同じ学校で、お互いの花いけを練習で見てきたチームメイト同志のバトル。大会の決勝という晴れ舞台だからこそ、自分らしく力を出し切りたいと、この場にいた4人全員の意気込みが伝わってきます。
対戦相手はいつものチームメイト。いつもとは違った緊張感が漂う中で完成した作品は、それぞれに個性があふれていました。お互いに実力を出し切った決勝戦。「⼀花⾐」も奮闘しましたが、先鋒戦を制した「晴香」が次鋒戦で逃げ切り、見事優勝を果たしました。
優勝した⼤阪府⽴園芸⾼等学校「晴⾹」の2人。迫力ある大きな枝ものをダイナミックにいけた花いけが印象的でした。先鋒、次鋒の息もぴったりで、バランスよく華やかな花いけを見せてくれました。
準優勝、⼤阪府⽴園芸⾼等学校「⼀花⾐」の2人。惜しくも優勝は逃しましたが、「お互いやりたかったことをやりきった、満足いくバトルだった」とのこと。喜びと悔しさの混ざった涙が美しく輝いていました。
先輩・後輩の絆、ライバルとの僅差の戦い。今回の近畿大会では、秋の紅葉のように赤く燃える美しいバトルが繰り広げられました。惜しくも決勝ラウンドに進めなかったチームも、来年また元気な姿で、よりパワフルな花いけを見せてくれることを楽しみにしています。