花いけだより

大会レポート✴︎福岡大会2023

2023年11⽉ 26⽇(⽇)、三井ショッピングパーク ららぽーと福岡にて「全国高校生花いけバトル福岡大会 2023」が開催されました。全国11ヵ所をめぐる地区大会も、いよいよこの福岡大会でラスト。2024年2月に行われる全国大会への最後のきっぷを求めて、6校17チームの高校生バトラーが熱いバトルを繰り広げました。

全国でもトップクラスの花き生産量を誇る花の都・福岡県。今大会も地元・福岡県産の花材がステージを彩ります。見事に色づいたピンクのオリエンタルユリに、きれいに紅葉したユキヤナギの枝もの……。まさに今が見ごろの花材の、旬の命をつかまえようと高校生バトラーは花いけに挑みます。

予選第1ラウンドから、全チームが200点を超えるハイレベルな戦いに。アカシアのグリーンに美しい紅葉を合わせ、季節感を表現したチーム。横一文字に竹を生けようとするもうまくいかず、とっさのひらめきで流木の表情を生かす構成へと変化させたチーム。一つひとつの作品からは、高校生バトラーが目指した花いけがはっきりと伝わってきました。

今年から観客席を開放し、保護者の方や同級生をはじめ多くの方に見てもらえるようになった福岡大会。ショッピングモールに会場を移したことで、買い物途中の人も足を止め、活気あふれる雰囲気の中、花いけバトルが続きました。観客席からは「がんばれー!」と声援が飛び、その熱気は吹き抜けのホールを昇って、2階や3階からも思わずステージを覗き込む人の様子も見られました。

初めての環境に緊張や戸惑いがありながらも、プレッシャーをものともせず、のびのびとした花いけを見せてくれた高校生バトラーたち。なかには初出場のチームもありました。前日に行われたオリエンテーションで初めて枝ものを触ったというチームも「慣れていなかったけど、ちゃんと使うことができた」と話す晴れ晴れとした表情が印象的でした。

1年間の練習の成果がたった5分間に凝縮されるのが、高校生花いけバトルの世界です。大舞台で挑戦することは簡単ではありません。「もしできなかったら?」「慣れている構成でやりたい……」。そんな不安を打ち破って、チャレンジを続けた高校生バトラーに拍手を送りたいと思います。

試合後には、できなかったことの後悔とともに、できたことを誇る気持ちの良いコメントが多く聞かれたのが印象的でした。「自分らしい花いけができた!」という自信は、きっとみなさんの花いけをもっと楽しく、もっと美しいものへと導いてくれるはずです。

審査員の福岡県花商団体連合会会長・下賀健史さんが「ハラハラドキドキする大会」とおっしゃったように、目まぐるしいスピード感とダイナミックな作品が特徴的だった福岡大会。花あふれる福岡での開催は今年で7年目になり、確実にレベルが上がっていることを感じられる白熱の予選ラウンドでした。花の生産者さんや高校生バトラーとともに、この花舞台を育てていけることを嬉しく思います。

迎えた決勝ラウンドでは、予選で得た学びを力に変え、さらにハイレベルな戦いが繰り広げられました。準決勝からは、これまでの大ぶりの安定した器ではなくバランスのとりにくい変形花器や複数花器が用意されます。審査員のフラワーデザイナー・曽我部翔さんによる「ひとつの作品としてのまとまりを意識してほしい」というアドバイスとエールに応えるように、決勝ラウンドでも見事な作品が並びました。

準決勝第1ラウンドは福岡県立修猷館高等学校「夏蜜柑」と尚絅⾼等学校「もつ鍋」の対決に。常連校の「夏蜜柑」が枝ものでボリュームを出す、高校生花いけバトルの王道スタイルで作品を仕上げれば、初出場の「もつ鍋」は葉ものと切花だけで勝負。対照的な作品でしたが、どちらも器の特徴と、花材の表情をうまく活かした作品でした。

続く準決勝第2ラウンドは、福岡舞鶴⾼等学校「ききょう」と福岡県立修猷館高等学校「絢爛」。花を運ぶための布が持ちこまれたり、花のアレンジを流木に仕掛けるアプローチがあったりと工夫と発想に満ちたバトルとなりました。息を弾ませながら、全身全霊をかけて花をいける姿に胸が熱くなります。

決勝戦に駒を進めたのは、福岡県立修猷館高等学校「夏蜜柑」と福岡舞鶴⾼等学校「ききょう」の2チームでした。先鋒戦から、構成力の高さが光る激しい戦いになりました。2つの器の間に流木を重ね合わせ、器と花と流木が一体となった作品を仕上げた「ききょう」に対して、流木に竹を絡ませ、松の枝で空間の広がりを演出した「夏蜜柑」。この対決は「夏蜜柑」に軍配が上がり、先鋒戦は28pt差で折り返します。

準決勝で惜しくも敗れた同じ高校の思いを背負う「夏蜜柑」と、悲願の初優勝を目指す「ききょう」。思いを込めて花いけに挑む優勝決定戦は、次鋒に託されました。観客席からも「ファイト!」という声援が飛び交います。

赤いガラスの2本組の器を選んだ「夏蜜柑」は、パンパスグラスやサザンカで思い切りよくダイナミックに。対する「ききょう」は濃い紫から淡いピンク、白へのグラデーションが美しい花合わせで勝負に出ました。

残り数十秒。「ききょう」が、大きな流木を先鋒の作品との間にしかけ、2つの作品にまとまりを生み出しました。たったひとつの花材が自分の作品の見え方だけでなく、先鋒の作品の見え方まで変えていく、ドラマチックなワンシーンに心が奪われます。期待や緊張感、ハッとするような驚きに満ちた、濃密な5分間でした。

28pt差を逆転し、初優勝を手にした福岡舞鶴⾼等学校「ききょう」のふたり。次の展開が読めない個性的なアプローチを続けた馬場さんと、迷うことなく堂々とした花いけを見せてくれた森田さんに、心からの拍手を送りたいと思います。全国大会でもがんばってください!

準優勝の福岡県立修猷館高等学校「夏蜜柑」。試合後の大山さんと渡邉さんの涙からは、本気で花いけと向き合い挑戦した熱い思いが伝わってきました。すばらしい花いけだったと思います。自信を持って、これからも素敵な花をいけ続けてください。

明るく、活力にあふれた雰囲気が印象的だった福岡大会。どのラウンドも高校生バトラーがエネルギーを燃やして、すばらしい作品を作り上げてくれました。審査員のいけばな作家・伊藤庭花さんからは「どのチームも、来年優勝できる潜在能力を秘めている」との大会総括のコメントがありました。

また来年、ひとまわり成長した皆さんの姿を見られることを楽しみにしています!