花いけだより

大会レポート:香川大会2024

2024年8月17日(土)、香川県仲多度郡多度津町のサクラートたどつにて、「全国高校生花いけバトル2024 香川大会」が開催されました。全国12会場をめぐる地区大会の2回目となる香川大会。記録的猛暑に負けない、熱い1日となりました。

今回集まったのは、10校23チーム、総勢46名の高校生花いけバトラーたち。先生やチームメイト、地元の生産者の方々など、さまざまな人たちの想いを抱えて挑戦してくれました。出場者の約半分は1年生。緊張した面持ちでステージに立つ高校生たちに、審査員のフラワーデザイナー・曽我部翔さんから「緊張感を味方につけてがんばってほしい」とエールがおくられました。

“花いけ王国”ともいうべき香川県での地区大会。高校生たちは植物と気持ちを通わせるように、しっかりと花の表情を見て自分らしい感性で形にしていきます。ステージ上では、それぞれがフレッシュなパワーを存分に発揮し、緊張をも楽しんでいた様子でした。

5分間でひとつの作品を作り上げる予選ラウンドでは、先鋒・次鋒の息の合ったチームワークも見所です。お互いが思い描くイメージを汲み取り、信頼のもとに仕上げていくひとつの作品。できあがった作品からは、このステージのために何度も練習し、2人で一緒に作り上げてきた日々の様子が伝わってきました。

予選ラウンドで頻繁に登場したのが、メラレウカ。ボリュームがあり、暗い背景の前でいけると、スポットライトが当たったように輝いて見える花材です。白い花は香川県産のテッポウユリ。メラレウカと合わせると、白が映えて迫力があります。

大胆さと繊細さが求められる5分間。それぞれが自分の花いけをイメージし、瞬間の判断で美しさを追求していきます。そこには、積み重ねた時間が培った、確かな自信が感じられました。力を出し切った後の清々しい表情が印象に残っています。

 

予選を終え、準決勝に進んだのは上位4チーム。決勝ラウンドでは集中力のスイッチをもう一度入れ直し、もっと美しい花いけ、もっと理想的な花いけをイメージして、上を目指します。

決勝トーナメントは個人戦での勝負になります。高校生たちにとって、大勢が見ている中で、1人で仕上げることの責任とプレッシャーは計り知れません。2人で1つの作品を作る予選とは違い、会場にはピリッとした緊張感が漂っていました。

準決勝では、安定しにくく、いけるのが難しい花器が登場します。とくに背の高い枝ものをいけるには難易度が高め。果敢に大きな枝ものにチャレンジするも、なかなかバランスが取れず、何度もやり直す姿が見られました。

しかし、直感で動く時こそ、個性が発揮されるもの。このままチャレンジを続けるか、それとも違う花材に変えるか。残り少ない時間の中で集中力を発揮し、自分にしかできない色を出していきます。

決勝戦は、英明⾼等学校「英明烈花」対、香川県立飯山高等学校「飯山 ペガサス」。「全国高校生花いけバトル」発祥の地・香川県らしいハイレベルな決勝戦となりました。

互いに力を出し切った先鋒戦では、「英明烈花」が21点をリードして終了。いずれのチームも「日本の花文化を今に合った形で伝えたい」という「全国高校生花いけバトル」の想いが伝わる、花への敬意と想い、現代的なエッセンスが感じられる作品でした。

個人戦では、横に並ぶ作品同士の連動性も見どころのひとつ。個人の個性とチームの個性が重なり合い、ひとつの作品が完成します。

いずれのチームも豪快にいけた次鋒戦。結果は「飯山 ペガサス」が11点上回ったものの、「英明烈花」の逃げ切り優勝で幕を閉じました。

優勝した英明⾼等学校「英明烈花」のふたり。先輩・後輩のコンビです。3年生の田村さんは、手を負傷しながらも、見事に戦い抜きました。2年生の松村さんは、「先輩や、まわりの人、全てに感謝しかない」と想いを語ってくれました。

準優勝の香川県立飯山高等学校「飯山 ペガサス」のふたり。インタビューでは悔し涙もありましたが、この2人なら、今回の経験を今後の活動に生かしてくれるはずです。

 

地元産を中心に、すばらしい花材が揃った香川大会。さまざまな人の花にかける思いが見事に花咲いた、情熱あふれる大会でした。今日この会場にまかれた種が芽吹き、来年もまた見事な花を咲かせてくれることを楽しみにしています。