大会レポート✴︎第七回全国大会・予選ラウンド
2024.2.24
2023年2月4日(日)、香川県高松市のレグザムホールにて「第七回 全国高校生花いけバトル 全国大会」が行われました。会場には全国の地区大会で優勝した11チーム22名が集結。エネルギッシュで個性あふれる花いけを見せてくれました。
2月の全国大会にふさわしい、春の息吹を感じるようなスタートダッシュ。予選第1ラウンドは北海道札幌国際高等学校「霞草」、広島工業大学高等学校「サザンカ」、福岡舞鶴高等学校「ききょう」の3チームともに、大きな枝ものをダイナミックにいけるところから始まりました。左に流れる枝は左に、右に流れる枝は右に、枝の表情を見ながら、花がいちばん輝く向きを探っていきます。
会場に並んだ花材は約90種類。地元・香川県からはマーガレットやカーネーションなど、生産者の方々が天塩にかけて育てた花が届きました。この日のために咲かせた立派な菊、可憐な花をつけた枝もの……ステージ上の高校生バトラーだけでなく、生産者の方にとっても晴れ舞台であることは間違いありません。皆が自分の立場で花の美しさを目一杯に引き出す。そんなそれぞれの思いが集まって生まれるのが、高校生花いけバトルなのです。
採点は、作品の魅力や完成度を問う「作品点」と、努力や花に向き合う姿勢、立ち居振る舞いを採点する「表現点」の2軸で行われます。当日は審査員4名のほか、会場にいる観客の皆様も手元のうちわでジャッジに参加し、高校生バトラーたちにエールを送りました。
正則学園高等学校「TWINS」は、大会開催地である香川県産のマーガレットとミニティアラを使って。北海道札幌国際情報高等学校「霞草」は、「生産者さんに会って改めて感じた菊の魅力を感じながらいけられた」と菊を生かした作品に。生産してくれる方の想いを受け継ぎ、たくさんの人の期待を背負ってステージ上でしっかりと表現してくれました。
あえて枝ものを使わずに、得意な葉ものを生かした構成で勝負したのは相愛高等学校「相愛 楓葉」。対する香川県立飯山高等学校「飯山花笑み」は、ダイナミックな構成力と思い切りのいい花いけで、独創的に仕上げていきます。
竹を折ってなんとか立たせるも、残り30秒で倒れてしまったのは、茨城県立小瀬高等学校「カメリア」。台を覆い尽くすようなダイナミックな作品を作り上げた宮城県柴田農林高等学校「華光」も、終了間際で器が傾き、1本も立たずに終了となりました。焦りと緊張、ゴングの音と同時に流れる涙……。無念を隠しきれない2チームでしたが、会場票は「カメリア」に。観客からはそれぞれのチームに大きな拍手が送られました。
たとえステージ上に何もなかったとしても、5分間一生懸命に走り、必死にいけた姿は一人ひとりの脳裏に焼き付いています。「一瞬も目が離せない」、そんな言葉の意味を改めて実感した5分間。花をいける気持ちを感じ、刹那の美しさを同じ会場で共有できることも、高校生花いけバトルの魅力なのだと改めて感じました。
最後まで何が起こるかわからない高校生花いけバトル。今回は特に予想外のトラブルに多く見舞われましたが、そんな一瞬の儚さにもまた花の美しさを重ね合わせてしまうほど、ドラマチックな光景をたくさん見せてくれました。
「想像していたよりも楽しかった」「自分らしくいけられた」という声が次々に聞こえてきた予選ラウンド。どの作品もいきいきとした楽しい気持ちが伝わってきました。「私の花いけの3年間を凝縮したような作品だった」と語ってくれた宮城県柴田農林高等学校「華光」の大沼さんの言葉が、すべてを物語っていたように思います。
ステージにいるのは5分間でも、その裏には、たくさん練習して、たくさん悩んで、うまくいかなくて悔しい思いをして、それでも花をいけることに喜びを見出し、努力してきた膨大な時間の積み重ねがあるはずです。今年、地区大会に出場を決めた115校269チームの皆さんの努力に順位などありません。挑戦することをやめなかったすべての高校生バトラーに、心からエールを送りたいと思います。