花いけだより

【大会レポート✴︎全国⾼校⽣花いけバトル茨城⼤会2022:決勝トーナメント編】

続く茨城大会の決勝トーナメント。準決勝では、審査員のひとり、いけばな作家・伊藤庭花さんの「誰も使っていない花材を使ってみてほしい」という言葉にもあったように、初めての花材を手に取り、攻めの姿勢でいける姿が印象的でした。

ときに繊細に、ときに大胆に、個性あふれる花いけを見せてくれた4チーム8名。「自分たちらしい花いけがしたい!」「花をいけるって楽しい!」という思いを体いっぱいにみなぎらせて、5分間の真剣勝負を駆け抜けました。

第1ラウンドは予選1位の茨城県立土浦第一高等学校「水月鏡花」と、予選4位の茨城県⽴⾼萩⾼等学校「吹部」の戦いに。チームメイトのパフォーマンスに呼応するように「私も自分のからを破りたい!」と、苦手な枝ものに挑戦した作品や、高さのバラバラな花材を丸いフジヅルでまとめあげ「感謝と支え合い」を表現した作品など、第1ラウンドから思いのこもった作品が続きました。

無我夢中の5分間の中でも、落としてしまった赤いダリアをやさしく拾い上げるワンシーンも。花を大切にしようという気配りが、美しい所作にあらわれていました。

準決勝第2ラウンドは、予選2位の⿅島学園⾼等学校「自然」と、予選3位の茨城県⽴⼩瀬⾼等学校「勿忘草」。

金色、銀色のシダレヤナギや力強い色合わせでダイナミックにみせた「自然」に対し、「勿忘草」は丁寧な仕事と細部までこだわった演出で、シンプルに軽やかに仕上げました。

決勝戦は、全国大会で優勝経験のある「水月鏡花」と「勿忘草」の対決に。どちらも茨城大会を牽引してきた強豪校です。大きなフジヅルに、ミツマタ、シダレヤナギ、ウンリュウヤナギ…決勝戦も、豊富な枝ものがそろった茨城大会らしい、枝の流れを生かした作品が並びます。

2点差の接戦で折り返した先鋒戦。熱戦の末、勢いを引き継いだ次鋒が突き放して「勿忘草」が優勝を手にしました。

優勝した茨城県⽴⼩瀬⾼等学校「勿忘草」のふたり。「大きなシュロの葉をチームで合わせて使えてよかった」という岡崎さんと、「やりきったぞー!」と嬉しい感情を爆発させた桑名さん。終始冷静に、自分たちの花いけを思い描きながら全速力で駆け抜けました。

惜しくも涙を呑んだ茨城県立土浦第一高等学校「水月鏡花」。丁寧で美しい所作もさることながら、一つひとつの作品にテーマをもって真摯に花と向き合う姿勢が印象的でした。八島さん、関さんともに最後まで挑戦を続けた、悔いのない花いけでした。

 

普段は触れる機会がないような花材と花器を扱い、人前で即興の花いけをする「全国高校生花いけバトル」。この舞台に立つことがすでに大きなチャレンジです。「花をいけたい」という気持ちとともに、勇気を持って一歩踏み出してくれた高校生バトラーたちに、心からの拍手を送りたいと思います。

 

全国13の地区で行われた予選大会が幕を下ろしました。来年1月に香川県で行われる全国大会で、また高校生たちの思いあふれる花いけが見られることを楽しみにしています!