花いけだより

花いけBOOTCAMP 2025夏✴︎1

「花いけBOOTCAMP 2025夏」

〜みせる花いけ〜

 

講師:日向 雄一郎(花美術家)

 

ぼくはね、いつも必死なんです。

花の魅力を、花のちからを、花が放つ無限の可能性とその自由を、そして何よりも花をいけることの素晴らしさと楽しさを、本当に一人でも多くの人たちに伝えたいと願っていますが、そう簡単には伝わりません。

だからこそ、必死に伝えたいと思っているのです。

 

それでは、どうすれば花の魅力が伝わるのか。

答えはとてもシンプルです。

 

心が震えるくらいに感動する花いけを“みせる”こと。

 

花そのものは綺麗かも知れないし、可愛いし、中にはとても格好の良い植物もあります。

けれども、花は人がいけることによって、その佇まいを変え、空間を変容させ、時には意味を持ち、唯一無二の存在へと成り替わることが出来ます。

大切なのは、人が花をいけるということです。

 

いくつものプログラムで構成されている「花いけBOOTCAMP」の最初のアプローチは“みせる花いけ”。

心が震えるくらいに感動する花いけを“みせる”ためには、まずその意識をしっかりと持つことが重要です。

見せること。

魅せること。

言葉の意味を紐解きながら“みせる”とは何なのかを理解し、“みせる”ことへの意識を向けることで、花と向き合う姿勢を整えることから始めてみました。

 

せっかく花をいけるならば、情熱を持って、全力で向き合ってほしいと思っています。

経験や知識、技術とかを気にする必要は全くありません。

経験豊富なベテランが、小手先の技術でそれなりに綺麗に形よく仕上げた花は、綺麗で整っているかもしれませんが、残念ながらそれ以上のものを伝えてはくれないのです。

 

花に携わる多くの人たちに、“みせる花いけ”を意識してもらいたいと願っています。

 

熱心な素人は、怠慢な玄人に勝る。

ぼくは花の玄人かもしれませんが、いつまでも熱心な素人の気持ちを持ち続けていたいものです。