花いけだより

花いけBOOTCAMP 2025夏✴︎2

「花いけBOOTCAMP 2025夏」

〜線と色、そして塊〜

 

講師:前原翔一(アートディレクター)

 

このワークショップで大事にしたのは、絵の上手さではありません。
大切なのは、自分の中にある気持ちを表に出す勇気を持つこと。自分の気持ちを外に出すことはとても恥ずかしいことです。でも、なにかを表現しようとするときに自分の気持ちや自分だけが感じた世界の輪郭を伝えようとする試みは、とても大切な「表現の根っこ」だと思っています。90分を通して伝えたかったことは、そんな勇気をもってほしい、ということです。

みなさんが取り組んだテーマはどれもかたちのない感情や印象に形を与える試みです。「線」や「塊」でどう表現するか、筆を使って描いてもいいし、指や手のひらでもいい。方法は自由でいいんだと、僕は思っています。植物を見て、感じたことを描く。白い紙を空間に見立てて、自分なりの“花いけ”をする。そんな時間を過ごしてもらいました。

 

最後に出した課題は「私の花いけ」です。これは“自分自身”をテーマに、心の奥にあるものを紙の上に映してみようというものです。どんな線を引くか、どんな形を描くか、それは、自身の感情のかたちなんです。へたっぴでも大丈夫、うまく描けなくても大丈夫、とにかく、伝えようと手を動かし、目一杯考えて、がむしゃらに白い紙に向かって、今の自分を表現すること。それができていれば100点です。まずはその気持ちがあれば、いずれ誰かに何かを、自分らしいやり方で伝えることができるようになるはずだと、僕は思っています。

僕が一番伝えたかったのは、「うまく描くこと」ではなく、「想いを描こうとする気持ち」のほうです。他人が正しいと思う答えじゃなくて、自分が「こう感じた」と思うことを信じて表現してほしい。それが、花をいけることにも通じる、「表現の根っこ」だと思っています。