大会レポート:第4回全国選抜大会・予選ラウンド
2024.9.15
2024年8月1日(木)、岐阜県大垣市の「ソフトビア ジャパンセンターソビアホール」にて、「第4回高校生花いけバトル全国選抜大会」「第48回全国高等学校総合文化祭 花いけバトル部門」が開催されました。
集まったのは、昨年度の地区大会出場校の中から、とくに優れたチームとして選抜された15校45名です。「全国高校生花いけバトル」の興奮を知り、花をいける楽しさ、思い通りにいかない悔しさを何度も噛み締めてきた高校生バトラーたち。「創造の限界をこえろ。」というテーマの通り、一人ひとりが自分らしく必死に向き合うべく、このステージに立ってくれました。
ステージ周辺には色とりどりの花と夏らしい緑のグラデーションが並びます。これまで練習してきた成果を発揮し、花材の表情をよく見て、頭の中のイメージを目の前で再現する。自分や仲間を信じ、感性と瞬発力で前に進めていこうとするパワーには、たくさんの煌めきがあふれていました。
静かな情熱とともに始まった予選1回戦。予選では、チーム3名のうち2名が出場し、5分間で1つの作品を作り上げます。枝の表情を見ながら大きくゆったりといけていく茨城県立小瀬高等学校「小瀬マルベリー」に、竹を仕込んで見事な段取りで組み上げていく香川県立飯山高等学校「飯山 輝鈴」。岐阜県立加茂農林高等学校「ひまわり」は真っ赤なバラと真っ白なユリを使い、色のコントラストで魅せてくれました。
今回で最後の出場となるのは、「第1回全国高校生花いけバトル」の優勝校でもある宮城県柴田農林高等学校の「たけのこ」。長い歴史を誇る同校ですが、今年度で廃校となります。今回の大会は最後のステージ。先生方や卒業生の想いも背負って、立派に戦ってくれました。
途中で落下してしまい、残り30秒まで花がなかったのは静岡県立田方農業高等学校「チーム赤池」。わずかな時間で必死に追い上げ、会場の歓声を集めました。大きな枝がグラッと倒れたり、竹が倒れたりと、予想外の出来事は3回戦でも。それでもあきらめずにやり抜く姿が見る者の心を揺さぶります。
トラブルはできるなら起こらない方がいい。だけど、トラブルが起こるからこそ見られる景色もある。限られた時間で必死にプランを組み直し、頭の中のイメージを無我夢中に表現するとき、創造の限界をこえた作品が生まれるのかもしれません。
先鋒と次鋒の交代時間を過ぎてしまった広島工業高等学校「舞」。ルールはルールですが、「花をいけたい」「あの竹をどうしても立てたい」という気持ちで挑み、最後は清々しい表情で全長6mの作品に仕上げました。
普段は使えない花材を使えるのも大会らしさ。勝負の場ですが、何よりも好きな花をいけることを楽しんで、生き生きと走り回る背中がまぶしく映りました。「創造をこえろ。」というメッセージに必死に応えてくれた、情熱を感じるバトルでした。
終始落ち着いて自分のペースを崩さない人、花の表情を捉えて、ダイナミックに生きていく人と、花いけのスタイルも人それぞれ師匠や仲間に教わったことを生かして、自分たちなりの表現を追求していました。
「できることは全て出し切った」と語ってくれたのは、大阪府立園芸高等学校「園芸 明衣花」。自信に満ちた表情がこれまでの練習の軌跡を感じさせてくれました。
予選後半戦は個人戦。前半戦がチームワークだとしたら、後半は各々の個性を爆発させる時間です。空間を立体的に捉えながら、頭の中にあるイメージを形にしていきます。安定感のない細い器なので、多くはいけられない分、繊細に花の表情をよく見ながらリズミカルに作り上げていくことが求められます。
流木を使って器が転がるのを防ぎ、枝の表情をよく見ていける高校生バトラーたち。「ひとりだけど同じチームの3人でいけている感じがして、3人での練習のように楽しかった」と語ってくれたのは、愛媛県立今治西高等学校 伯方分校「メンズコーチ伯方」。ひとりではハードルが高いことも、みんながいれば乗り切れる。持てる力を何倍にもしてくれるチームの力を改めて感じた瞬間でした。
「花をいけたい」という気持ちに突き動かされて、全力で走り、全力で挑んだ5分間。各々がテンポ良くダイナミックに魅せた時間はあっという間に過ぎ、全6チームが決勝へと駒を進めました。
予選では、先鋒の時間が長く、次鋒が花をいける時間を確保できなかったチームもありました。悔いの残る戦いもありましたが、その経験はきっと、次へのエネルギーになるはずです。全力で戦い、個性を爆発させてくれた15チーム45名の高校生バトラーたちに、心からエールを贈りたいと思います。