花いけだより

大会レポート✴︎栗林公園杯 2022:決勝ラウンド編

2023年1月22日(日)、「第六回 全国高校生花いけバトル 栗林公園杯2022全国大会」が行われました。予選ラウンドの結果、6チームが決勝に進出。全国204校231チームが参加した「全国高校生花いけバトル」の頂点を決める熱い戦いが繰り広げられました。

決勝ラウンドに進んだのは、昨年もこの会場で戦った香川県立飯山高等学校「飯山 花笑み」に、全国大会の常連校である相愛高等学校「相愛 楓葉」、広島県立福山誠之館高等学校「ティンカーベル」と、1年生チームの高知学芸高等学校「はるまき」、福岡県立修猷館高等学校「絢爛」、東京都立小石川中等教育学校「ひともし」の6チーム。どのチームも全力で花と向き合い、審査員をうならせる素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

準々決勝は一人ずつに複数の器が用意され、個人で作品を作り上げます。口の大きい予選の器とは異なり、構成力やバランスが問われる難しい形状。大きくダイナミックにいけるのは難しいことから、3つの差し口をどのように使って器を生かした展開を見せられるか、チームならではのアプローチが問われます。

器を細かく動かしてバランスを整え、それぞれが雰囲気の異なるアプローチで見せてくれた準々決勝。思い切りよくいけたサクラの枝と、淡く繊細な花々のグラデーションで彩った「はるまき」、緑や黄といった強い色を生かし、存在感ある作品に仕上げた「相愛 楓葉」と、初戦から個性がぶつかり合い、ステージが個性豊かに彩られていきます。

あえて地区大会でうまくいかなかった器を選んでリベンジしたのは「絢爛」の匹田さん。後悔を後悔のままで終わらせず、練習を重ねて決勝大会で挑んだチャレンジ精神、そして納得のいく作品を大きなステージで見せられたこと、そんな経験は必ずや今後の人生の糧となるはずです。

対する「ひともし」の2人は、先鋒はダイナミックに、次鋒はスタイリッシュに。別々の作品ながらも通じ合っているような、チームワークの良さを感じさせる5分間でした。

準決勝では、予選1位通過の「飯山 花笑み」が力強くダイナミックに紅梅を生けますが、次鋒のさんは、残り1分でまさかのリセット。焦る思いを抑えながら、最後の1分にできることのすべてをつぎ込み、強い気持ちでいけきった作品でした。「チームメイトが隣で必死に頑張っていた。そんな姿に励まされた」と語ってくれました。

1年生と3年生の「ティンカーベル」は、色を抑制しながら緊張感のある作品に。途中で器が倒れてしまった土橋さんは、残り1分半でリカバリー。残りわずか数10秒でもあきらめず、使いたかった花材を入れて完成させた姿に、会場からは大きな拍手が巻き起こりました。思い描いていた完成形ではなかったかもしれません。それでも100%以上の力を出して必死で向き合う姿が人の心を動かすのだと、感じた時間でした。

続いて行われたのは、「飯山 花笑み」と「ティンカーベル」による3位決定戦。持ち味を生かしてダイナミックにいけた花々には、「最後のステージをいい形で終えたい」という思いが詰まっていました。保水ができていないことによる減点という悔しい結果でしたが、その悔しさも噛み締め、自分の中で消化し、来年また挑戦してくれることを楽しみにしています。

 

最後まで冷静にペースを崩さず、美しい所作を見せてくれた「ティンカーベル」。3年間挑戦し続けてくれた土橋さんは、「花いけに出会えてよかった」と溢れる気持ちを語ってくれました。この先で何か困難に出会った時、毎回挑戦したこと、やりきった気持ち、悔しい思い、そんな複雑で割り切れない感情とともにこの日のことを思い出し、前に進んでいけるはずです。

決勝戦は、先鋒、次鋒それぞれの個人戦。「相愛 楓葉」と「絢爛」、先鋒戦ではどちらも似た器にディスバットマムを、次鋒戦ではどちらも桜を選びましたが、できあがった作品は四者四様。独創的な4つの作品が、最後の最後に華やかな春を咲かせてくれました。

両チームとも感性を研ぎ澄まし、全身全霊でやりきった5分間。最後は「相愛 楓葉」の優勝で幕を閉じました。

優勝した「相愛 楓葉」の2人。優勝が決まった瞬間、まっすぐ前を見て喜びを噛み締めていた姿が印象的でした。先輩やライバルたちと切磋琢磨し、「全国高校生花いけバトル」という大舞台にすべての気持ちをぶつけた5分間。日々の練習の成果と、内なる情熱が感じられる、素晴らしい作品でした。

惜しくも準優勝となった「絢爛」。優勝を目指していただけに、悔しくて言葉が出ない様子を見て、肩をさするチームメイト。ここまで一緒に頑張ってきた仲間の絆を感じました。1年生同士のフレッシュな2人。これからたくさん練習を積んで、来年もここに戻ってきてくれることを楽しみにしています。

一生懸命に、勇気を出して挑戦してくれた26名の高校生バトラーたち。みずみずしい感性と熱い思いを持って必死に取り組んでくれたすべてのバトラーたちに拍手を送りたいと思います。

 

今回の「全国高校生花生けバトル 栗林公園杯2022 全国大会」は、多くの方のご支援・ご協力により実現しました。今日のために見事な花を咲かせ、花材を提供してくださった全国の生産者の皆様、クラウドファウンディングで応援してくださった皆様、協賛企業の皆様、応援してくださったすべての方に深く感謝します。

 

皆が集まってこのような場を作れることは、当たり前ではないという事実を実感したここ数年。本大会では、ようやく観客の皆様にも見ていただくことができました。「全国高校生花いけバトル」は2023年もまだまだ続きます。どうぞお楽しみに。