花いけ BOOT CAMP 2025金沢 7
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2025.11.22
「バトル」
自分は何者として花をいけるのか──。バトルを通して何を得るのか──。この時間は、花いけの本質と向き合う大切な問いに迫るものでした。
講師の宮永さんは、まず花が“命”であることを伝えます。花は多くの人の手を経て私たちのもとに届きます。その命に敬意を持ち、心を込めていけることが大前提だと強調されました。
作品づくりでは、花材や花器、色の組み合わせに意味のある選択が求められます。単に美しさを追求するだけではなく、構成力や知識、そして感性を融合させることが大切です。色彩理論を理解し、素材の特徴を活かすことで、説得力のある花が生まれると語りました。
また、発想のきっかけは日常にあります。ステージの形状や空気感、観客の存在など、あらゆるものがインスピレーションの種になります。そうした“気づきの感度”を高め、五感で世界を感じることが、花いけに深みをもたらすのです。
宮永さんは「花いけとは自分との戦い」だとも語ります。直感を信じ、判断し、やり切る覚悟。そして情熱だけでなく冷静な視点も忘れずに、すべての経験を自分の表現へと昇華させる。その積み重ねが、見る人の心を打つ花へとつながります。
バトルにおいて勝敗以上に大切なのが、人との出会いです。同じ舞台を経験した仲間とのつながりは、何よりの宝物です。そして練習では、失敗を恐れず全力でぶつかること。恥ずかしがらず、内側から絞り出す表現こそが、本当の成長につながっていきます。
この講義を通して、生徒たちは「花をいける」ことの深さと、その裏にある考え方・姿勢・想像力の重要性を学びました。花材に触れる前に、“何を、どう、なぜ、いけるのか?”という問いと向き合うこと。それこそが、次の一歩を踏み出す力になると、静かに確かに感じさせられる時間となりました。
講師:宮永 英之(フラワーデザイナー)



