金沢で初開催:北陸大会レポート
2020.11.05
初開催の地、金沢で花開いた高校生花いけバトル。 これまで福井県で開催してきた北陸大会が、そのステージを石川県金沢市に移し、装いも新たに再出発。 いけばなを大切な文化の一つとして、長年に渡り育み続けてきた街が金沢。しかしながら、近年ではいけばな人口は減り、その規模は年々減少しているのが実際のところ…。そんな金沢に新しい風を吹かせ、日本の花文化を力強く伝えたいとの思いを胸に、全国高校生花いけバトルは金沢へと向かった。 北陸大会に集まったのは、地元石川県の高校に加え、県外から参加した静岡県立田方農業高等学校。 これまで岐阜大会に出場し、昨年は見事優勝、一昨年は準優勝してきた実績を持つ田方農業が今年は北陸大会に登場。強豪田方農業の3チームを迎えての一戦は、スリリングな大接戦の連続となった。 初出場校も交えての予選ラウンド。 花いけバトルを研究し尽くし、早い動きと緻密な作戦、そして抜群の作品構成力を誇る田方農業が序盤から猛烈な花いけを披露。 その田方農業の勢いに、負けず劣らずのパフォーマンスを発揮したのが石川県勢。 毎年北陸大会に参加し、着実に実力を伸ばしてきた七尾東雲が今年はより一層磨きをかけて参戦してきたかと思えば、男子ペアの金沢市立工業が華麗な枝さばき、花さばきで魅了させ、可憐に花をいけ続けた遊学館が独自の世界観で存在感を見せてくれた。 いやはや、とにかく凄かった。 大会の規模は決して大きくはなかったが、これぞ高校生花いけバトルの真骨頂と思わせるものが、ここにはあった。 (予選上位4チーム) 1位 静岡県立田方農業高等学校 「香鈴」 2位 石川県立七尾東雲高等学校 「マリーゴールド」 3位 金沢市立工業高等学校 「愛は地球を救う」 4位 静岡県立田方農業高等学校 「渡花渡花」 秋の花材に彩られた北國新聞交流ホール。 金沢花市場さんにご協力いただき、様々な地元の県産花材が会場に並んでいた。金沢花き友の会さんより届けられた旬の花材と共に、石川県産の葉ボタンも。 この葉ボタン、今回リピートされて使われた花材の一つであったが、葉は大きくて丈も長い、投げ入れでいけるのに大変具合がよかった。 花材を活かし、丁寧に花いけ。 この姿勢を皆が貫きながらも、挑む気持ち、諦めない気持ちを持ち続けた決勝トーナメント。 決勝戦は静岡県立田方農業高等学校「香鈴」の南雲香澄/鈴木心暖ペアと、石川県立七尾東雲高等学校「マリーゴールド」山崎花楓/山口雪花ペアの対戦。 両チームとも学年が違う先輩後輩ペア。 先鋒戦は、全開で攻める花いけを見せた南雲(田方農業)と、終始マイペースでゆったりとした花いけでありながら、迷うことなく瞬く間に見事作品をいけあげた山崎(七尾東雲)。 結果は7点差で山崎(七尾東雲)が勝利。 わずか7点の僅差で続いた次鋒戦。 追いかける鈴木(田方農業)が気迫の一作。 逃げ切りたい山口(七尾東雲)も、やはり気迫の一作。 繰り返しになるが、これぞ高校生花いけバトルの真骨頂。 次鋒戦の結果は、わずか1点差で鈴木が勝利するも、先鋒との合計得点で石川県立七尾東雲高等学校「マリーゴールド」がそのまま逃げ切り、石川県勢に初の優勝をもたらした。 おめでとうございました! 実に晴れやかで、清々しい一戦となった北陸大会でした。