成熟する清流の花いけ:岐阜大会レポート
2020.10.11
花フェスタ記念公園 プリンセスホール雅に集った高校生花いけバトラーの胸は高まり、同時に例年とは異なる秋の開催、そして無観客という状況にスタッフ、関係者は緊張していた。
即興で花をいける時間は5分という制約に加え、今年は予選ラウンドがリレー方式で行われるため、いままで以上にチーム間のコミニュケーションや連携が求められる大会となった2020年。朝から入念に作戦を練るチームの姿が数多く見受けられ、高校生花いけバトルが真剣勝負の舞台であることを物語っていた。
今回、数多く用意された流木やしゃれ木などの花材。これらを積極的に活かそうと試みるチームが多く、開始のゴングと同時にお目当ての流木を全速力で取りに行くシーンが何度も見られ、スピード感あふれる展開で予選ラウンドがスタート。
無観客のため、審査員3名が作品点と表現点という二つの観点から採点方式が採られ、その予選で一気に気を吐いたのが、第二回大会で全国制覇を成し遂げている岐阜県立大垣養老高等学校。決勝トーナメントに駒を進めることができる予選上位4チーム中3チームを同校が独占する快進撃となった。
一方、見事予選2位で通過したのが、高得点でトップと肉薄した岐阜県立岐阜農林高等学校のチーム「華鳥風月」。
(予選上位4チーム)
1位 岐阜県立大垣養老高等学校 「蒼穹」
2位 岐阜県立岐阜農林高等学校 「華鳥風月」
3位 岐阜県立大垣養老高等学校 「passione」
4位 岐阜県立大垣養老高等学校 「オラフ」
ステージでいけられた花は、いずれもが秋色に溢れている。
ドウダンツツジやななかまどの紅葉、実つきの枝もの等と組み合わされた花たちは、これまで夏に開催されてきた大会とは彩りが異なり、季節の旬の豊かさというものを高校生花いけバトラーたちにもたらしていた。
そして、大切なことは花をいける技術ではなく、花をいけたいと思う気持ちであるということを改めて再確認することができた準決勝。予選2位の岐阜農林「華鳥風月」は気持ちが前を向いており、攻める姿勢で花と向き合っていたが、準決勝ではほんの少し気負ったのかもしれない。惜しくも敗れはしたものの、実に清々しい花いけを見せてくれた。
決勝戦は高校生花いけバトル史上初となる岐阜県立大垣養老高等学校による同校同士の対戦。
チーム「蒼穹」(坂優依/和田イカデ俊)対 チーム「passione」(畑中ほのか/坂野雪乃)
3年生ペアの「蒼穹」と2年生ペアの「passione」、両チームともにステージ上の運動量が他のどのチームよりも圧倒的に多く、花をいけるスピードが滅法速いのが印象的だった。
決勝戦は先鋒、次鋒ともに一歩ずつリードし、勝利を手繰り寄せた3年生ペア「蒼穹」の坂優依/和田イカデ俊ペアが勝利!
(優勝)
岐阜県立大垣養老高等学校 チーム「蒼穹」
坂優依/和田イカデ俊 ペア
おめでとうございました!
岐阜県で開催される高校生花いけバトルは今年で5年目。
全国規模の大会として、各地で地区大会が開催されるよりも以前から高校生花いけバトルに取り組み、着実に実績を積み重ねてきた岐阜県。
清流の花いけが、また一歩成熟していることを実感した大会となりました。