花いけだより

決勝大会 審査員講評(2)

各地の予選を制し集まった9チーム18名の高校生バトラー達。二日間に渡り開催された決勝大会では、初戦から明らかに予選大会とは違うテンションで大人顔負けのスピード感、パフォーマンスを見せつけられました。審査員として、一度にいける3チームをくまなく公平に見るには、瞬きすら許されない! そんな5分間の連続でした。そして、5分では見切れず鑑賞タイムには作品の目の前まで近寄り、隅々までじっくり拝見して審査をさせて頂きました。

 

一貫して私が重視して審査してきたのは、高校生の皆さんのハートの部分です。大舞台でどこまで自分自身に立ち向かえたか。花には気持ちがそのまま投影されます。大きなパフォーマンスに挑戦する姿、細やかな所作、花を取りに向かうその表情に。そんな皆さんの心がさらけ出される瞬間をしっかり見せて頂きました。そして、全てのチームが優勝できる可能性を秘めている熱いハートをもった18名による初日の予選トーナメントでした。

 

昨年までの高校生花いけバトルとは大きく変わったのは、予選トーナメントはチームでの合作として花をいけるという点でした。各地方での予選では、ここで大きく差がついていたように思います。チーム2人の連携がしっかりとれているチームは観客を魅了し、ちぐはぐな動きになってしまっているチームは得点が伸びなかったのではないでしょうか。決勝大会ではこの合作のクオリティが非常に高かったと思います。それぞれの役割が明確に決められていました。それぞれが分担し右と左に花を取りに行くチーム。1人が枝を立てもう1人がそれを固定するチーム。お互いで花の色あいをしっかり計算しているチーム。思わず「見事!」と呟く瞬間がいくつもありました。

そして、決勝大会に勝ち上がってきたチームはいくつもの構成のパターンを知っているようでした。器をしっかり見て特徴を捉え、素材を選び構成をしていました。おそらくかなりの練習を積んできたのだと思います。

 

決勝大会を終えて数日が経ち、花いけ高校生たちも二学期が始まり、多くの子達は3年生でしたからそれぞれの進路に向かって歩き始めていることと思います。各地での予選も含め、第2回全国高校生花いけバトルに出場してくれた158チーム316名の花いけ高校生達へ、勇気を振り絞りステージに上がった事は、これから先の人生で大きな経験、自信に繋がってくるはずです。皆さんが苦労して手にした技術と経験は、時には人の心を揺さぶることさえ出来るのです。三年生の皆さんはこれから先、それぞれの道を歩んでいくことになるとおもいますが、皆さんが花をいけることで花の素晴らしさ、花をいける人の美しさ、植物の儚い命の尊さを多くの人たちに伝えていってほしいと思います。

みなさんが必死に花をいける姿、仕上がった見事な作品、悔し涙に嬉し涙。沢山の感動をいただきました。ありがとうございました!

決勝大会 審査員 曽我部 翔(フラワーデザイナー / Rock’n’Rose)